音楽のリズムとヤング図形 - 音楽生成に向けた考察
音楽とは時間軸上のぽんぽこであり、ぽんぽこの区切り方がリズムですよね。もちろんリズム以外にもメロディー*1や和音などいろいろな要素が音楽には含まれていますが、ここではリズムの問題を考えましょう。おもしろいです。
リズムとは?
リズムとは時間軸上のパターンです*2。音楽では様々な音を鳴らしますが、ある音をどれぐらい鳴らし続けるかという時間の分割がリズムであると言えそうです。
楽譜を見ると音楽は長さ一定の「小節」に区切られます。その中に4分音符や8分音符などの様々な音がうまく配置されることによって、小節中の有限の時間が分割されているのです。
有限とはいえ時間は連続量なので、離散化して考えたいです。そこで、最も短い音符を時間の最小単位としてみましょう。音符には16分音符・32分音符…と様々な種類がありますが、最も短い音符をn分音符としてn分のn拍子を考えると、小節内のリズムは自然数nを分割する方法*3であるとみなせるのではないでしょうか。
何を言っているか分かりにくいと思うので、具体例を示します。
具体例:自然数4の結合
4分の4拍子で、4分音符より短い音符(8分音符など)は存在しないとしましょう。音の長さの最小単位を4分音符とみなす、ということです。
音の高さは無視して長さだけ考えると、1小節内の音の分割は以下の8通りが考えられます。
(4/4のフォントが楽譜っぽくないのは気にしないでください)
この8通りが自然数4を順序を考慮して分割する方法(4の合成、と呼びます)に対応していることを説明します。
参考↓
自然数の分割 - Wikipedia
ヤング図形 - Wikipedia
まず、
4 = 3+1 = 2+2 = 1+3 = 2+1+1 = 1+2+1 = 1+1+2 = 1+1+1+1
というように、4の合成は8通りあり、それをヤング図形*4と呼ばれる図形で図示すると以下のようになります。テトリスで落ちてくるアレみたいなやつです。
この図形と先ほどの楽譜を対応付けると以下のようになります。たとえば1+2+1の場合、4分音符+2分音符(4分音符2つ分の長さ)+4分音符というように対応させています。
このように、4分の4拍子の1小節内において4分音符を最小単位として考えられるリズムは、自然数4の合成(順序つき分割)の数だけ存在すると言えるのです。
より一般的に…
前章では4分の4拍子について4分音符を最小単位として考えました。
より一般に、m分のn拍子においてm*2^k分音符を最小単位として考えた場合、
のリズムが1小節内に存在し得ることになります。例えば、8分の6拍子で16(=8*2)部音符を最小単位として考えた場合には
となります。
音楽のリズムは何通り可能か?
一曲がN小節だとすると、前章のようにそれぞれの小節に
のパターンが存在するので、一曲中では
のリズムパターンが存在しうることになります。たくさんありますね。
さらに複数の旋律や音の高低・強弱等を考慮すると事実上無限のバリエーションがあり、作曲家がおまんま食い上げとなることは無さそうです。
そういえば俳句は大体50^17通りですね。全てが意味を為す訳ではないですが。