ハンバーガーとしてのカントール集合と、L-systemによる表現
この記事では、ハンバーガーとの対比により、カントール集合というフラクタルの一種を理解することを目指します。パンの塊に対して「ある簡単な操作」を無限回繰り返してゆくと、無限枚のパンが含まれるにもかかわらずパンの割合が0%という奇妙なハンバーガーが出来上がるのです。
さらに、この奇妙なハンバーガーをL-systemという一種の形式言語によって記述したり、問題をビッグマックに拡張したりもします。
目次
続きを読む最も偉大で最ももの悲しい『ドン・キホーテ』ほか - 2015年9月に読んだ本まとめ
今週のお題「人生に影響を与えた1冊」
はじめに
9月に読んだ19冊を記しておきます。涼しくなったおかげで結構読めました。
なかでも『ドン・キホーテ』は名作です。あのドストエフスキーが
「人間の魂の最も深い、最も不思議な一面が、人の心の洞察者である偉大な詩人によって、ここに見事にえぐり出されている」
「人類の天才によって作られたあらゆる書物の中で、最も偉大で最ももの悲しいこの書物」
と評したとのこと。
ドン・キホーテ - Wikipedia
以下では今月読んだ本を「小説(海外)」「小説(国内)」「理系っぽい本」「その他(エッセイ・教養・音楽等)」の4つに分類しました。
各本について、タイトル・リンク・読書メーターに書いた感想(一部追加・修正あり・非ですます調)の順に記します。↓↓↓
2015年8月に読んだ本まとめ
某エンブレムをフラクタル化して無限にズームし、面積も求める
はじめに
東京オリンピックのエンブレムについて一悶着あったようですね。詳しいことは知りませんが、エンブレムの面積を計算している方がいて人生楽しそうだなと感じました。
この姿勢を見習い、本記事ではエンブレムをフラクタルっぽくしてみることにします。さらに、フラクタル図形は無限に細かい形状といえるので、HTML5のCanvasを用いて無限にズームし続けるアニメーションを製作します。そして最後に、こうしてできたフラクタル図形の面積を計算して締め括ることとします。
参考:フラクタル図形とは、図形の部分と全体が自己相似になっているようなマトリョーシカ的図形のことです↓
フラクタル - Wikipedia
2015年7月に読んだ本まとめ
はじめに
毎月恒例の記事です。7月は12冊(kindle版含む)読んだみたいです。roomba.hatenablog.com
今月は少なめなので、「小説・音楽・その他」の3つに分類しました。各本について、タイトル・リンク・読書メーターに書いた感想(一部追加・修正あり・非ですます調)の順に記します。↓↓↓
モールス符号の「地図」
謎の遺跡
ある遺跡を考えます。唯一の入口からその遺跡の中に入ると2つの扉があり、扉にはそれぞれ「・」「ー」という2種類の文字が書いてあります。
試しに「・」と書かれた扉を開き、隣の部屋に移動すると、またもや「・」「ー」と書かれた2つの扉があります。先ほどの部屋と違うのは、扉と扉の間に「E」と書かれていることです。
今度は「ー」と書かれた扉を開き、隣の部屋に移動すると、やっぱり「・」「ー」と書かれた2つの扉があって、その間には「A」という文字が書かれていました。
……この遺跡を探検すると、どのような間取りになっているのでしょうか?
遺跡の「地図」
ある人がこの遺跡を調査した結果、以下の地図のように部屋がつながっていることが判明しました。一番上が入口の中の部屋で、下に行くほど遺跡の奥に対応します。
この地図を使えば、好きな部屋に迷わず行くことが可能になります。
たとえば、「A」と書かれた部屋に行きたければ、最初に「・」の扉を開き、次に「ー」の扉を開けばよいことになります。この経路を地図上に描くと、以下のようになります。
他にも、「B」と書かれた部屋に行きたければ、最初に「ー」の扉を開き、それから「・」→「・」→「・」と扉を開いていけばよいことになりますね(下図)。
それ以外のどのアルファベットの場合にも、適切な道筋を辿ることによってそのアルファベットが書かれた部屋に行くことが可能です。
地図上の道筋リストとモールス符号
ここで、「Aと書かれた部屋に行く道筋」「Bと書かれた部屋に行く道筋」……「Zと書かれた部屋に行く道筋」をリストアップしてみます。前章の例では、「・」→「ー」と扉を開けばAの部屋に辿り着くので
A: ・ー
となり、「ー」→「・」→「・」→「・」と扉を開けばBの部屋に辿り着くので
B: ー・・・
のようになります。同様に全てのアルファベットについてリストアップすると、以下の表のようになります。先ほどの「地図」と比べてみて下さい。
文字 | 道筋 | 文字 | 道筋 |
---|---|---|---|
A | ・- | N | -・ |
B | -・・・ | O | --- |
C | -・-・ | P | ・--・ |
D | -・・ | Q | --・- |
E | ・ | R | ・-・ |
F | ・・-・ | S | ・・・ |
G | --・ | T | - |
H | ・・・・ | U | ・・- |
I | ・・ | V | ・・・- |
J | ・--- | W | ・-- |
K | -・- | X | -・・- |
L | ・-・・ | Y | -・-- |
M | -- | Z | --・・ |
勘のいい方は気が付いたかもしれませんが、これはモールス符号の対応表に他なりません。…というか、タイトルに思いっきり「モールス符号」と書いちゃっているので、何を勿体ぶってるんだという感じですね。
「地図」を用いたモールス信号の解読
前章で述べた「道筋リスト」がモールス符号の対応表であるという事実から、冒頭の遺跡の正体はモールス信号の解読装置であったと言うことができます。なぜなら、例えば「-・-・」というモールス信号が与えられたとすれば、「-・-・」の順に扉を開いて行った先に解読後のアルファベット「C」を見つけることができるからです。
遺跡が「・」と「ー」によるモールス信号の解読装置であることが分かったところで、先ほどの「地図」を見直してみましょう。
この地図は、一般的なモールス符号表よりもモールス信号の解読に適しています。なぜなら、地図の一番上からスタートし、「・」や「ー」といった信号を受け取るたびに枝分かれ先へ進んでいけば、行き着いた先のアルファベットを見るだけで解読できるからです。同じ解読作業を以下の表(再掲)で行おうとすると、暗記でもしていない限り大変だと思います。
文字 | 道筋 | 文字 | 道筋 |
---|---|---|---|
A | ・- | N | -・ |
B | -・・・ | O | --- |
C | -・-・ | P | ・--・ |
D | -・・ | Q | --・- |
E | ・ | R | ・-・ |
F | ・・-・ | S | ・・・ |
G | --・ | T | - |
H | ・・・・ | U | ・・- |
I | ・・ | V | ・・・- |
J | ・--- | W | ・-- |
K | -・- | X | -・・- |
L | ・-・・ | Y | -・-- |
M | -- | Z | --・・ |
逆に、「アルファベット→モールス信号」の変換を行うには、アルファベット順に並んでいる表の方が良いでしょう。一長一短ですね。
なぜこのように符号化されているのか?
再び「地図」を見てみます。
これを見ると、なぜA〜Zがこんなにバラバラに配置されているのだろう?という疑問が生じます。上からABCと並べればよさそうなのに、2段目にEとT、3段目にはI、A、N、Mといった配置になっています。
その答えは、Wikipediaの以下の記述にあります。
策定については、標準的な英文におけるアルファベットの出現頻度に応じて符号化されており、よく出現する文字ほど短い符号で表示される。例を挙げると、Eは(・)、Tは(-)とそれぞれ1符号と最短である。逆に使用頻度が少ないと思われるQは(--・-)、Jは(・---)と長い符号が制定されている。
なるほど、使用頻度の高い文字が短い符号で表せるようになっていたわけですね。納得納得。
球充填のボロノイ・セルを視覚的に理解する
はじめに
ケプラー予想に関する本を先日読みました。ケプラー予想とは、ザックリと言えば「球を最も効率よく詰め込む方法は、果物屋がオレンジを積む方法*1と同じ」という予想です。ちょっとオレンジを積んでみれば誰でも思い付くような配置なので、予想自体は誰もが当然と思うような内容なのですが、その証明には400年もの歳月が必要だったそうな。
ケプラー予想: 四百年の難問が解けるまで (新潮文庫―Science&History Collection)
- 作者: ジョージ・G.スピーロ,George G. Szpiro,青木薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/12/24
- メディア: 文庫
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この本にはケプラー予想に対する様々なアプローチが紹介されており、その中に「ボロノイ・セル」なるものに関する以下のような記述があります。
球による最密充填のボロノイ・セルは菱形十二面体になる
そんなことを言われても……という感じですよね。それをイメージ出来るようにしようというのが本記事の内容です。
画像を眺めるだけでもなんとなく分かると思うので、ぜひ読み進めてください。
*1:高校化学で学ぶ「面心立方格子構造」「六方最密充填」