精巧な組木「千鳥格子」をPC上で再現し、実際に作ってみる
はじめに
隈研吾氏の著作「小さな建築」を読みました。くま氏は新国立競技場仕切り直しコンペに参加を予定している*1建築家で、木材を使うなど「和」をイメージしたデザインが特徴的だそうです。
- 作者: 隈研吾
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/01/23
- メディア: 新書
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この本に「千鳥格子」という玩具が紹介されていました。詳細・画像は以下の引用・リンクをご覧ください。
「千鳥」という飛騨高山に昔からある組み木のような木製の玩具で、飛騨高山の街ではビニールの袋に入って500円くらいで売っているものなのですが、これがとてもよくできている。切り欠きが施されている三種類の木の棒を組んでひねると、釘がなくとも固定される立体的な積み木なのです。
なんだか面白そうです。
で、書籍「小さな建築」や上記のリンクに「千鳥格子」の組立図が掲載されているのですが、小さくてよく分からない…。これを分かるようにするのが今日のテーマです。
目次
3次元CAD(立体作成ソフト)による「千鳥格子」の再現
CADはAutodeskの123D Design*2というフリーのものを用いました。
部品の形状
関連資料をよく見て考えてみると、どうやら以下の形状の3部品(a~c)をつくればよさそうだということが分かりました。
寸法は書いていませんが、それぞれ断面が正方形の角柱を切り抜いたもので、寸法も見たまま(角材の一辺の長さの半分などからなる。円筒面の直径は角材の一辺の半分)です。
組合せ方
この3部品を組合せる方法を紹介します。
(1) まず、b(銅色)の曲面をa(銀色)の円柱部に合わせます。
(2) 次に、c(半透明)をa(銀色)&b(銅色)にはめ込みます。b(銅色)の上をスライドさせるような感じです。
(3) 最後に、b(銅色)をくるっと回転させれば完成です! b(銅色)の円柱部を回転軸とします。
発泡スチロールによる試作
PC上だけではつまらないので、実際に作ってみました。
材料・加工法
材料としては発泡スチロール(のようなもの)の角材を用いました。
正確にはスタイロフォーム?という水色の材料で、30mm × 30mm × 400mmのものをハンズで買いました。
↓こんな感じ(寸法は違う)
- 出版社/メーカー: スタイロフォームEK
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とてもやわらかいので、普通のカッターナイフで切断・切り抜きをすることが出来ます。円筒面は少し厄介ですが、多角柱を削りだすイメージで頑張りましょう。多少ずれても大丈夫です。
画像
すでに紹介した3部品(a~c)を以下のように削り出します。
これを組合せてゆき…
完成! 内部の複雑な凹凸が見事に隠れていますね。
おわりに
このように、「千鳥格子」では非常に巧みな方法によって3本の角材を交差させていることが実感できました。お金があれば3Dプリンタで出力してもいいかもしれませんね。
ある程度の強度を必要とする場所に利用する場合、直角に凹んだ部分に丸みづけをした方が良いかと思います(応力集中)。その際は、対応する凸部も忘れずに丸くしましょう。
くま氏らのグループは、これを応用することで様々な作品を作っているようです。kkaa.co.jp
千鳥は玩具として使われているようですが、日本の建築物に使われている木組みもとても面白そうですね。ちょっと調べてみようかなと考えています。
- 作者: 大工道具研究会
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