『悪霊』『Cooking for Geeks』ほか - 2015年10月に読んだ本まとめ
はじめに
10月に読んだ16冊を記しておきます。いつもより小説が少なめで、理系っぽい本と教養のために読んだ本が多めです。
以下では今月読んだ本を「小説」「教養」「理系っぽい本」の3つに分類しました。いつもは小説を海外と国内にわけていますが、今月は少なかったので・・・。
各本について、タイトル・リンク・読書メーターに書いた感想(一部追加・修正あり・非ですます調)の順に記します。気に入った文の引用も。↓↓↓
9月に読んだ本(タイトル一覧)
■悪霊 (上巻) (新潮文庫)
■悪霊 (下巻) (新潮文庫)
■夜来たる (ハヤカワ文庫SF)
■彼岸過迄 (新潮文庫)
■小澤征爾さんと、音楽について話をする (新潮文庫)
■旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)
■新約聖書を知っていますか (新潮文庫)
■あたらしい哲学入門 なぜ人間は八本足か? (文春文庫)
■ドストエフスキー『悪霊』の衝撃 (光文社新書)
■金融工学、こんなに面白い (文春新書)
■硝子戸の中 (新潮文庫)
■数学オリンピック問題にみる現代数学―難問の奥にある"ほんもの"の香り (ブルーバックス)
■芸術を創る脳: 美・言語・人間性をめぐる対話
■掟破りの数学 ―手強い問題の解き方教えます―
■数学で生命の謎を解く
■Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)
以下詳細↓
小説
『悪霊』はすごいです。
■悪霊 (上巻) (新潮文庫)
- 作者: ドストエフスキー,江川卓
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/12
- メディア: 文庫
- 購入: 10人 クリック: 108回
- この商品を含むブログ (88件) を見る
「神はいないが、神はいるんです。石に痛みはないが、石からの恐怖には痛みがある。神は死の恐怖の痛みですよ。痛みと恐怖に打ちかつものが、みずから神になる。そのとき新しい生が、新しい人間が、新しいいっさいが生れる……そのとき歴史が二つの部分に分けられる - ゴリラから神の絶滅までと、神の絶滅から……」
「…人間が不幸なのは、自分が幸福であることを知らないから、それだけです。これがいっさい、いっさいなんです! 知るものはただちに幸福になる。その瞬間に。(中略)すべてがすばらしい。僕は突然発見したんです。」
「でも、餓死する者も、女の子を辱めたり、穢したりする者もあるだろうけれど、それもすばらしいのですか?」
「すばらしい。赤ん坊の頭をぐしゃぐしゃに叩きつぶす者がいても、やっぱりすばらしい。叩きつぶさない者も、やっぱりすばらしい。すべてがすばらしい、すべてがです。すべてがすばらしいことを知る者には、すばらしい」
「…人間は自分がいい人間であることを知る必要がある。そうすればすべての人が、一人残らず、即座にいい人間になる」
...
「すべての人がいい人間だと教える人、その人が世界を完成するのです」
「それを教えた人は、十字架にかけられた」
「あなたが無神論者なのは、あなたが坊ちゃんだからです。最低の坊ちゃんだからです。あなたが善悪のけじめを失ったのは、自国の民衆を理解することをやめたからです。(中略)…いいですか、労働によって神を手に入れるのです。本質のすべてはここにあります、さもないとあなたは、醜い黴のように消えてしまいますよ。労働で手に入れるのです」
■悪霊 (下巻) (新潮文庫)
- 作者: ドストエフスキー,江川卓
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/12
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 50回
- この商品を含むブログ (68件) を見る
「信条と人間 ー これは、どつやら、いろんな点でまるで異なった二つのものらしいぞ。ぼくは、もしかしたら、あの人たちに対してずいぶん罪なことをしているのかもしれない!……みんな罪がある、みんな罪があるんだ……だから、みながそのことに気がつきさえすれば!……」 →シャートフ
「スタヴローギンは、たとえ信仰をもっていても、自分が信仰をもっていることを信じようとしない。信仰をもっていないとしたら、信仰をもっていないことを信じようとしない。」 →キリーロフ
「ぼくはおそろしく不幸だよ、なぜなら、おそろしく恐れているから。恐怖は人間の呪いなんだ…しかし、ぼくは我意を宣言するぞ、ぼくには、自分が信仰をもっていないことを信ずる義務があるのだ。(中略)ぼくは三年間自分の神の属性を捜し求めて、それを発見した。ぼくの神の属性はー我意だよ! これこそ、ぼくの不服従と新しい恐ろしい自由をその頂点において示すことができるすべてなのだ」 →キリーロフ
「われ汝の行為を知る、汝は冷やかにもあらず熱きにもあらず、われはむしろ汝が冷やかならんか、熱からんかを願う! かく熱きにもあらず、冷やかにもあらず、ただ微温きがゆえに、われ汝をわが口より吐き出さん」 →ヨハネ黙示録
「完全な無神論者は、完全な信仰に至る最後の階段に立っておりますからな」 →チホン
「人間存在の全法則は、人間が常に限りもなく偉大なものの前にひれ伏すことができたという一事につきます。もし人間から限りもなく偉大なものを奪い去るなら、人間は生きることをやめ、絶望のあまり死んでしまうでしょう」 →ステパン
■夜来たる (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: アイザックアシモフ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/08/28
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1952/01/22
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (47件) を見る
「天下にたった一つで好いから、自分の心を奪い取るような偉いものか、美くしいものか、優しいものか、を見出さなければならない。一口に云えば、もっと浮気にならなければならない。市蔵は始め浮気を軽蔑して懸った。今はその浮気を渇望している。彼は自己の幸福のために、どうかして翩々たる軽薄才子になりたいと心から神に念じているのである。軽薄に浮かれ得るより外に彼を救う途は天下に一つもない事を、彼は、僕が彼に忠告する前に、既に承知していた。けれども実行は未だに出来ないで藻搔いている」
「あの竹藪は大変見事だね。何だか死人の膏が肥料になって、ああ生々延びる様な気がするじゃないか。此所に出来る筍は屹度旨いよ」
「おお厭だ」
教養
音楽・キリスト教・哲学・文学・金融工学・随筆など
■小澤征爾さんと、音楽について話をする (新潮文庫)
- 作者: 小澤征爾,村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/06/27
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (16件) を見る
Apple Musicでみつかったのは、 グールド×バーンスタインのブラームス・ピアノ協奏曲第一番&バーンスタインのスピーチ、 グールド×カラヤンのベートーヴェン・ピアノ協奏曲第三番、 グールド×バーンスタインのベートーヴェン・ピアノ協奏曲第三番、など。
- 作者: 阿刀田高
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/12/20
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 85回
- この商品を含むブログ (84件) を見る
- 作者: 阿刀田高
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1996/11/29
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 38回
- この商品を含むブログ (75件) を見る
もともと科学少年だった著者は奇蹟に疑問を持ち、聖書が眉唾ものに見えたらしいが、今では奇蹟への疑問が聖書を否定するほど本質的なものではないと考えるようになったそうだ。物語でしか伝えられない真実がある、みたいな。なるほど、そう考えれば奇蹟を受け入れることもできそうだ。
■あたらしい哲学入門 なぜ人間は八本足か? (文春文庫)
- 作者: 土屋賢二
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/02/07
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: 亀山郁夫;リュドミラ・サラスキナ
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/04/17
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (5件) を見る
■金融工学、こんなに面白い (文春新書)
- 作者: 野口悠紀雄
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/09
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 65回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1952/07/22
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (33件) を見る
「私は彼女に向って、凡てを癒す「時」の流れに従って下れと云った。彼女は若しそうしたらこの大切な記憶が次第に剥げて行くだろうと嘆いた。 公平な「時」は大事な宝物を彼女の手から奪う代りに、その傷口も次第に療治してくれるのである。烈しい生の歓喜を夢のように暈してしまうと同時に、今の歓喜に伴なう生々しい苦痛も取り除ける手段を怠らないのである」
「もし世の中に全知全能の神があるならば、私はその神の前に跪ずいて、私に毫髪の疑を挟む余地もない程明らかな直覚を与えて、私をこの苦悶から解脱せしめん事を祈る。でなければ、この不明な私の前に出て来る凡ての人を、玲瓏透徹な正直ものに変化して、私とその人との魂がぴたりと合うような幸福を授け給わん事を祈る」
理系っぽい
■数学オリンピック問題にみる現代数学―難問の奥にある"ほんもの"の香り (ブルーバックス)
数学オリンピック問題にみる現代数学―難問の奥にある"ほんもの"の香り (ブルーバックス)
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/02/15
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 69回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
■芸術を創る脳: 美・言語・人間性をめぐる対話
芸術にも関心の深い言語脳科学者と、4人の芸術家との対談集。音楽と絵画の2人に加え棋士とマジシャンも広義の芸術家として参加している。すべての対談に共通するのは、人間としての体験が芸術の源泉となること、芸術における言語化の重要性など。聞き手が言語脳科学者だからそういう方向に話が進んでいるわけだが、言われてみれば確かに、音楽の構成・将棋の思考・マジックの効果・絵画の階層性といったものには脳の言語的な能力との関係があるような気がしてくる。ほんまかいなという気もするけど。いずれにせよ考えるきっかけにはなった。■掟破りの数学 ―手強い問題の解き方教えます―
- 作者: Sanjoy Mahajan,柳谷晃,穴田浩一
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2015/04/24
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る
■数学で生命の謎を解く
- 作者: イアン・スチュアート,Ian Stewart,水谷淳
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2012/09/20
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 37回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
この本に関連したシミュレーションをつくりました↓roomba.hatenablog.com
■Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)
Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)
- 作者: Jeff Potter,水原文
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2011/09/22
- メディア: 大型本
- 購入: 40人 クリック: 2,561回
- この商品を含むブログ (39件) を見る
おわりに
今月の個人的ランキングは、
といったところです。
『数学で生命の謎を解く』と『Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ』を読んでいてアイディアがいくつか浮かんだので、そのうちブログに書くかもしれません。
先月分はこちら↓roomba.hatenablog.com