最も偉大で最ももの悲しい『ドン・キホーテ』ほか - 2015年9月に読んだ本まとめ
今週のお題「人生に影響を与えた1冊」
はじめに
9月に読んだ19冊を記しておきます。涼しくなったおかげで結構読めました。
なかでも『ドン・キホーテ』は名作です。あのドストエフスキーが
「人間の魂の最も深い、最も不思議な一面が、人の心の洞察者である偉大な詩人によって、ここに見事にえぐり出されている」
「人類の天才によって作られたあらゆる書物の中で、最も偉大で最ももの悲しいこの書物」
と評したとのこと。
ドン・キホーテ - Wikipedia
以下では今月読んだ本を「小説(海外)」「小説(国内)」「理系っぽい本」「その他(エッセイ・教養・音楽等)」の4つに分類しました。
各本について、タイトル・リンク・読書メーターに書いた感想(一部追加・修正あり・非ですます調)の順に記します。↓↓↓
9月に読んだ本(タイトル一覧)
■ドン・キホーテ〈後篇2〉 (岩波文庫)
■ドン・キホーテ〈後篇3〉 (岩波文庫)
■白痴 (上巻) (新潮文庫)
■白痴 (下巻) (新潮文庫)
■「絶対」の探求 (岩波文庫)
■知られざる傑作―他五篇 (岩波文庫)
■化鳥・三尺角 他六篇 (岩波文庫)
■虞美人草 (新潮文庫)
■機械・春は馬車に乗って (新潮文庫)
■新 物理の散歩道〈第2集〉 (ちくま学芸文庫)
■小さな建築 (岩波新書)
■ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫 シ)
■ジムに通う前に読む本―スポーツ科学からみたトレーニング (ブルーバックス)
■詩という仕事について (岩波文庫)
■反哲学入門 (新潮文庫)
■ギリシア神話を知っていますか (新潮文庫)
■ヨーロッパものしり紀行 神話・キリスト教編 (新潮文庫)
■音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)
■1冊でわかるポケット教養シリーズ 吉松 隆の 調性で読み解くクラシック
以下詳細↓
小説(海外)
ドン・キホーテは前編3冊・後編3冊の計6冊で、ようやく読み終えました。かなり昔の作品ですが普通におもしろいです。
■ドン・キホーテ〈後篇2〉 (岩波文庫)
- 作者: セルバンテス,Miguel De Cervantes,牛島信明
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/03/16
- メディア: 文庫
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
- 作者: セルバンテス,Miguel De Cervantes,牛島信明
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/03/16
- メディア: 文庫
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
■白痴 (上巻) (新潮文庫)
- 作者: ドストエフスキー,木村浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 83回
- この商品を含むブログ (85件) を見る
■白痴 (下巻) (新潮文庫)
- 作者: ドストエフスキー,木村浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 35回
- この商品を含むブログ (39件) を見る
「作家というものはその小説や物語において、社会のある種の典型をとらえて、それを芸術的にあざやかに表現しようとつとめている。もっともそうした典型は、そっくりそのままの姿では現実にお目にかかれないが、ほとんどあらゆる場合において、当の現実そのものよりはるかに現実的なものなのである。」
■「絶対」の探求 (岩波文庫)
- 作者: バルザック,Honor´e De Balzac,水野亮
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1978/04
- メディア: 文庫
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
■知られざる傑作―他五篇 (岩波文庫)
- 作者: バルザック,水野亮
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1965/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (23件) を見る
小説(国内)
金沢の泉鏡花記念館に行ってきました。
■化鳥・三尺角 他六篇 (岩波文庫)
- 作者: 泉鏡花
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/11/16
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/10/29
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 34回
- この商品を含むブログ (46件) を見る
甲野さんの亡父の半身画が何度か描写されていて、なんとなくハムレットを連想した。実際甲野さんは浅井君にハムレット呼ばわりされている。藤尾とクレオパトラの重ね合わせはもっと明白。
「問題は無数にある。粟か米か、これは喜劇である。工か商か、これも喜劇である。…凡てが喜劇である。最後に一つの問題が残る。ーー生か死か。これが悲劇である。」(甲野さんの日記より)。
■機械・春は馬車に乗って (新潮文庫)
- 作者: 横光利一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1969/08/22
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (38件) を見る
その他、『微笑』『時間』『春は馬車に乗って』も良い。『微笑』にはうまく説明し難い清々しさを感じる。「戦中を真摯に生きた者たちの叙情」を描いたと説明されているが、それだけではなさそうだ。登場人物の梶は、栖方という戦時下の若き天才を見ながら、彼が狂人なのかどうか分からなくなってしまう。そのあたり『機械』に似ていると思うのだが、こちらでは栖方の微笑に不明瞭さの接地点を見出したようだ。排中律云々や最後の栖方の言葉の意味など、また再読して考えたい作品。
理系っぽい本
新物理の散歩道は第1集の在庫がなかったので第2集から。とくに連続性はないので第2集からでも問題ないです。
■新 物理の散歩道〈第2集〉 (ちくま学芸文庫)
- 作者: ロゲルギスト
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/06/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (8件) を見る
○「車と足」:ころがり摩擦ところがり騒音の発生機構が興味深い。 ○「レールのいらない軌道車」:追随する牽引車の軌道とその安定性に関する議論が参考になる。 ○「昆虫のはばたき」:生き物のサイズとはばたき振動数の関係を見積もる過程がまさに理系! 耳小骨は音波のエネルギーをリンパ液で完全に吸収するためのテコになっているという指摘も面白い。 ○「焼畑方式の図書館」:よく読む本を手前に持ってくる方式による蔵書管理。コンピュータのキャッシュメモリの考え方に似ていると思う。
■小さな建築 (岩波新書)
- 作者: 隈研吾
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/01/23
- メディア: 新書
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
■ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫 シ)
- 作者: トーマストウェイツ,Thomas Thwaites,村井理子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/09/27
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
途中の妥協はご愛嬌。トースターの材料となる鉄を精錬しながら、その熱でトーストを焼いているのには笑った。
■ジムに通う前に読む本―スポーツ科学からみたトレーニング (ブルーバックス)
ジムに通う前に読む本―スポーツ科学からみたトレーニング (ブルーバックス)
- 作者: 桜井静香
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/08/20
- メディア: 新書
- 購入: 3人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
その他
ギリシア神話とキリスト教の知識があれば海外の絵画・音楽・小説の理解が深まりそうなので、わかりやすそうな本から手を出しています。
■詩という仕事について (岩波文庫)
- 作者: J.L.ボルヘス,鼓直
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/06/17
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
ボルヘスは『ドン・キホーテ』の冒険は信じられないが、人物は信じられるとのこと。『白鯨』の場合は逆になり、人物を信じることはできないが、ストーリーは信じられるらしい。おもしろい見方。
■反哲学入門 (新潮文庫)
- 作者: 木田元
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/05/28
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 45回
- この商品を含むブログ (47件) を見る
- 作者: 阿刀田高
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1984/02
- メディア: 文庫
- 購入: 30人 クリック: 37回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
- 作者: 紅山雪夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/03/28
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
■音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)
- 作者: 岡田暁生
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/06
- メディア: 新書
- 購入: 22人 クリック: 513回
- この商品を含むブログ (88件) を見る
ちなみにショパンはシューマンの想像力過剰に辟易していたらしい! 彼の曲に対するシューマンの分析に対し、「このドイツ人の想像にはほんとうに死ぬほど笑った」と書いているとのこと。あと、三島由紀夫の「ところで私は、いつも制作に疲れているから、こういう深淵と相渉るようなたのしみを求めない。音楽に対する私の要請は、官能的な豚に私をしてくれ、ということに尽きる」という文章も意外。
■1冊でわかるポケット教養シリーズ 吉松 隆の 調性で読み解くクラシック
1冊でわかるポケット教養シリーズ 吉松 隆の 調性で読み解くクラシック
- 作者: 吉松隆
- 出版社/メーカー: ヤマハミュージックメディア
- 発売日: 2014/09/22
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る